映画館と犬

好きなものや観た映画の話をします。

出会い

 

今年度はじめて映画を見てきました。今回はいつも行くシネコンではなく、家の近くにある小さな小さな映画館に足を運びました。徒歩数分のところに映画館があるという感動 ...! 今どきでは珍しく、おじいさんがひとりで切り盛りされている映画館でした。券売機はなくて、いわゆる「もぎり」で直接チケットをもらいます。映画も、それこそ今シネコン等で上映されている最新作は上映せず、少し前の、それこそDVDが発売されて間もない作品をメインに上映していました。お値段は一般か1000円で、それ以外の全学生とシニアが800円でした。ひっそりとした佇まいの映画館なので、今まで散々前を通っているはずなのに気付かなかったのです。もったいないことをした ... 中に入ってみると、席は好きなところに座り放題でした。なんという贅沢 ...!映画を見に来ていた人とコミュニケーションが取れて、映画を見る前から心が満たされたような気分でした。

 

今回わたしが見たのは「帰ってきたヒトラー」という作品でした。

 

 

帰ってきたヒトラー コレクターズ・エディション [DVD]
 

 

 

年末に帰省した際に、ツタヤで新作になっているのを見ました。そのときはすべてレンタルされていたので、今回ちょうど上映しているとのことで訪れることにしました。映画を見た理由はいたってシンプル、課題レポートのためです。後期で必修の講義の先生の別の講義を前期で取っていたのですが、映像作品を用いた講義がメインなので、授業中に映画を見る機会があります。今までは「マトリックス」や「ゴッドファーザー」、スペインの画家・ダリが制作したトーキー映画まで見ることがありました。ユニークな講義で大好きです。

 

 

「帰ってきたヒトラー」のあらすじをざっと書きます( 読み飛ばしても結構です )1945年に自殺したアドルフ・ヒトラーは自殺直前の記憶を亡くしたまま、2014年のベルリンにタイムスリップしてきます。ここは自分が指導していたドイツではないとヒトラーは気付きます。偶然にもヒトラーの姿に目をつけた元テレビ職員のサヴァツキはヒトラーのことを「モノマネ芸人」として、一緒に元いたテレビ局に売り込むのです。ヒトラーは瞬く間に大人気に。けれど、ヒトラーのことをよく思っていないネオナチから暴行を受け、ヒトラーは重傷を負ってしまいます。襲撃事件が報道されると、社会はヒトラーを「ネオナチの暴力に立ち向かうヒーロー」として持てはやし、政界からは入党依頼が舞い込みます。ヒトラーは療養先の病院で社会の動きを見つつ、司会を任された新番組の構想と選挙運動の準備を進めていました。これこそが、現代に帰ってきたヒトラーが成し遂げた「扇動運動」だったのです。

 

私は高校のときにお世話になった世界史の先生に刷り込まれた世界史の知識があります。特にドイツ・近代史は得意分野なので、ヒトラーに関する知識は勉強する機会が減った今でも覚えています。とにかくこの映画を見てヒトラーに対して抱いたのは「私がイメージしていたヒトラーに物凄く似ているようで、物凄くかけ離れている」という気持ちでした。ヒトラーは演説に特に長けていたと聞きます。だから一代でドイツ帝国を率いることができたのだと思います。この映画においても、ヒトラーの演説の上手さが際立っていました。「ショパンはピアノを弾く。ショパンにとってのピアノのように、私にとってのピアノは国民だ。必要があれば、黒盤も叩く」という台詞がありました。何気ないシーンでふとヒトラーが話した言葉です。ヒトラーという男が発する言葉の強さを痛感しました。

 

そしてもうひとつ声を大にして言いたいのは、ヒトラー演じるオリヴァー・マスッチという俳優が、ヒトラーにそっくりなのです。特殊メイクを施して似せているそうなのですが、本当にそっくりでした。そんな人が実際に街中に出て、ヒトラーとして国民と話をするのです。それこそネオナチがいたら襲撃される可能性もあるでしょうし、実際に「地獄に落ちろ」のポーズをする人も映り込んでいました。けれど、ドイツ人のほとんどが嫌な顔せずセルフィーに応じたり、今のドイツのあり方などについてヒトラーに語りかけるのです。ほとんどは移民の話をしていました。異民族の血を嫌ったヒトラーヒトラーが目指した民主主義に、今のドイツは近付いているのでしょうか?

 

この映画は基本的にはコメディーですが、ブラックジョークがかなり多いです。直感的に「日本では作れない映画だろうな」と思いました。とあるシーンは完全に動物愛護法に違反していました。それと引き換えに(?)ヒトラーの可愛い姿を見ることもできます。思わず笑ってしまうようなシーンも満載です。そして最後の最後。どうして先生がこの映画でレポートを書けと言ったのかが分かりました。最後の最後で夢なのか現実なのか分からなくなりました。ヒトラーは本当に現実に帰ってきたのでしょうか。

 

「私は人々の一部なのだ」

 

最後にヒトラーが言ったこの台詞が、私には忘れられそうにありません。

 

 

 

 

 

 

書き初め

 

あけましておめでとうございます🎍

 

2017年の酉年です。酉年生まれの人の割合は日本でいちばん少ないそうです。私は1998年の寅年生まれですが、この年の寅は「五黄の寅」というらしく、女性は気が強く他人を支配するといった俗信があるそうです。家柄のせいか、そう言った話は祖父からも父からもたくさん聞きました。

 

年が明けて、ものすごく唐突に文章を書きたくなりました。活字に飢えている、というわけではないです。まがいなりにも文化学部で常日頃からレポートや文献を目の当たりにしている身です。恐らく、自分の気持ちを吐き出すことができる場所が欲しいのです。不特定多数の人に読まれるツイッターに書き出すのは向いてない、だからブログにしたまでの話です。

 

ブログを作るに当たって、まずはブログのタイトルをどうしようか悩みました。気持ちを吐き出す場とはいえ、少しは気を遣いたいところです。悩んだ末のこのタイトルです。「犬」に関しては、自分自身を投影しているつもりです。「映画館」は、私がこの世でいちばん好きな場所です。つまり「好きなものと私」ということです。ブログもそういった内容になるのでしょうか。現段階では不明です。

 

 

「映画館」が話に出たので、最初は映画についての話をしたいと思います。

 

映画は小さい頃から父親と一緒に見ることが多かったです。映画館で最初に見た映画は「007 ダイ・アナザー・デイ」です(!)当時はわずか3歳、とても3歳児が見るような映画ではありません。よく映画館のスタッフが入場を許可したなと今では思います。

 

「007シリーズ」は、私と父親にとって非常に縁が深い作品です。父親は高校生の頃から洋画を見ており、当時から007を見ていたと語ります。そんな父親が聴くのは主題歌を担当していたアンディ・ウィリアムスマット・モンローなどの曲ばかりです。家には歴代の「007シリーズ」のVHSやDVD、主題歌のCDやサントラまで揃っています。父親は「007オタク」なのです。そんな環境で生まれ育ったため、案の定と言ってよいのか、中学生頃には私も 「007シリーズ」が大好きになります。

 

新作が公開されると有無を言わせず私は父親に連れられて「007シリーズ」を見ます。ただ去年公開の「007 スペクター」に関しては、私が受験期だったこともあり、見に行くことはできませんでした。「お父さんだけでも見に行ったらいいよ」と私は言いましたが、父親は見に行きませんでした。恐らく私も父親も「一緒に007を見る」ということが好きなんだと思います。人と見る映画、人と語る映画。それが私の好きな映画です。

 

もちろん1人で映画を見るのも好きです。というか、一人暮らしを始めてからは基本的に1人で映画を見ることのほうが多くなりました。1人で映画を見ることの魅力は「感情を移入しやすい」というところだと思います。自分対映画の1対1の関係になれる。1人で映画を見ることは、自分と向き合うことだとも思います。

 

ここまで書いてみて、自分が好きな映画について話していないことに気付きました。「007 シリーズ」は私の肉や血液とも言える作品なので除外しますが、1位を挙げるとするなら間違いなく「醒めながら見る夢」です。

 

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私が村井良大さんを知るきっかけとなった映画です。緊縛のシーンがあるため15禁になっています。まず映像がすべて自然の光を用いて撮られていることに驚きます。 それが、この作品の仄暗い雰囲気を際立たせていると思います。村井さん演じる文哉くんが泣くシーン。役作りのために日常生活から感情を殺していた村井さんが「爆発」するシーンが必見です。

 

村井さんのお話ばかりになってしまいますが、村井さんは目の演技が素敵なのです。村井さんの目は所謂「三白眼」というもので、白目の割合が多めの目をしていらっしゃいます。文哉くんの悲しい目や何かを諦めたかのような目が、村井さんの目と相まって非常に鮮明に頭に残っています。

 

石橋杏奈さんや高梨臨さんの力強い女性の演技もよかったです。高梨さんの儚い演技の虜になってしまいました。

 

映画が好きな人には必ず見てもらいたい作品だと思います。

 

 

拙い文章になってしまったと思いますが、私の映画への気持ちが0.5ミリでも伝わっていればと思います。今後は書きたいときに、書きたいように書きます。

 

素敵な1年になりますように ... ☆